妊娠すると、お腹の赤ちゃんのために葉酸を摂取したほうがいいという話は耳にしたことがあるかもしれません。
妊娠後から葉酸のサプリメントを摂取しはじめたという妊婦さんも多くいます。
最近妊活雑誌などでは、妊活中も葉酸を積極的に摂取したほうがいいと紹介されています。
葉酸はいつから摂取し、妊娠後はいつまで続ければいいのでしょうか?
また、妊活中にもサプリメントで葉酸を摂取したほうがいいのでしょうか?
今回は葉酸を積極的に摂取したほうがよい時期と、妊活中にサプリメントで摂取したほうがよいのかについてお話していきます。
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葉酸はいつからとったほうがいいの?
実際、いつから葉酸をとったほうがいいのか迷ってしまいますよね。
葉酸は、妊活中であれば今すぐにでも摂取をはじめた方が良いです。
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葉酸は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減すると言われています。神経管閉鎖障害とは、脳や脊椎の神経管の一部がふさがり、正常に機能できなくなる先天的な疾患のことです。
どこの神経管がふさがってしまうかで二分脊椎症と無脳症になるかがわかれるとされています。先天異常の多くは妊娠直後から妊娠10週以前に発生しており、特に神経系は妊娠7週未満に発生することがわかっているのです。
妊娠がわかりクリニックを受診するのがだいたい妊娠5週なので、7週は妊娠がわかってすぐということになります。
妊娠がわかってからの対応では遅いと考えられることから、妊娠する1か月以上前(妊活中)から妊娠3カ月までは葉酸を積極的に摂取することがすすめられているのです。
ちなみに厚生労働省でも、妊娠を希望する女性は、その時点から食事とサプリメントの両方から葉酸を摂取するよう推奨しています。
妊活中の葉酸はサプリメントでしっかりと摂る
厚生労働省では妊活中の女性に対して、食事から240㎍、サプリメントから400㎍それぞれ両方から合わせて葉酸を摂取するよう呼びかけています。
1日に350gの野菜を摂取していれば、400㎍の葉酸は自然にとれるとも言われている中で、なぜ葉酸は食事からだけでなく、サプリメントでも補わなければならないのでしょうか?
厚生労働省ではこれらの理由として3つのことをあげています
- 現状では食事由来の葉酸の利用効率が確定していないこと
- 各個人の食生活によっては0.4mgの葉酸摂取が困難な場合もあること
- 米国等の報告では神経管閉鎖障害の発症リスク低減に関しては、食事からの摂取に加え0.4mgの栄養補助食品からの葉酸摂取が勧告されていること
参考厚生労働省報道資料「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」より一部引用
食事から摂取できる葉酸は、熱に弱く水に溶けだしやすい性質を持っています。そのため調理するほど栄養価は落ちてしまいます。また、体内での吸収率が低く、摂取した50%程度しか吸収されないといわれているため、しっかりと食べているつもりでいても、十分な量の葉酸を摂取できないのです。
これが上記でいう「食事由来の葉酸の利用効率が確定していない」理由にあたります。
対してサプリメントに含まれている葉酸は、食品由来の葉酸に比べて吸収率が高く安定しています。食事由来のものが50%なのに対して、サプリメントの合成葉酸はその85%ほどが体内で利用されるのです。
成分や利用効率が不安定で、正確な摂取量がはっきりしない食事由来の葉酸だけでは、やはり不安が残ってしまいます。
胎児の神経管閉鎖障害のリスクを軽減するためには、やはり安定した状態でしっかりと葉酸が摂取できるサプリメント由来のの合成葉酸の摂取が推奨されているのです。
ちなみに、サプリメントだけで1日推奨量の400㎍を摂取すれば食事からはとらなくても大丈夫と説明しているサイトなどもありますがこれは正確には誤った情報になります。
厚生労働省としては食事とサプリメントの両方からの摂取を推奨しているというのが正しい情報になりますので、決して惑わされないようにしてくださいね。
確かにサプリメントでしっかり摂取ができてばそれで十分といった考え方もあるのですが、サプリメントはあくまでも「補助的に」摂取するよう呼びかけられているものになります。基本はやはりバランスの良い食事をとり、補助的にサプリメントを使用して葉酸をしっかり摂るというスタンスが大切です。
妊娠後は葉酸をいつまでとる必要があるの?
葉酸は胎児の器官の基礎を作るために必要な栄養素ですが、妊娠したらいつまでとる必要があるのでしょうか?
厚生労働省では妊娠がわかってから妊娠3カ月までの間、食事で480㎍、サプリメントで400㎍の摂取を必要としています。胎児の器官の基礎がある程度つくられるのが妊娠3カ月までだからです。妊娠3カ月以降は、神経管閉鎖障害のリスクが減るため、バランスの良い食事からの葉酸摂取のみでも良く、サプリメントでの摂取は強くは言われてはいません。
妊活中と妊娠初期・それ以降の葉酸接種推奨量
妊活中:食事から240㎍+サプリメントから400㎍
妊娠初期:食事から480㎍+サプリメントから400㎍
妊娠中期・後期:食事から480㎍(サプリメントによる摂取は不要)
授乳中:食事から340㎍(サプリメントによる摂取は不要)
上記を見てもわかるように、妊娠中期以降の葉酸の摂取は食事からのみでOKとなっています。
ただしそれはあくまでも、胎児の神経管閉鎖障害のリスクが低くなり、サプリメントで補う必要がなくなるからという理由にすぎません。
妊娠中はどうしても栄養が偏ったり、葉酸が消費されてしまいがちです。食事から十分にとれる自信がないという方は、母体の健康や胎児の成長のことを考慮して、サプリメントでも葉酸を摂取していたほうがいいかなと思います。
どんな葉酸サプリメントを選ぶべき?
サプリメントを選ぶ際に、いろいろなものがあってどんなものを購入してよいのか迷ってしまいますよね。
妊活中は、厚生労働省で推奨されている1日400㎍の葉酸と、妊活力を高めてくれるような栄養素も含まれているものを選ぶとよいでしょう。
マカやザクロ、ビタミンEなどの栄養素にはホルモンバランスを整える作用がありますので、こうした成分が含まれているものはおすすめですね。
ホルモンバランスが乱れていると、生理不順や排卵障害の原因になりかねません。妊活力を高めるためにはホルモンバランスを整えるような栄養素が葉酸と一緒にとれるようなものがよいでしょう。
妊娠初期では、お腹の赤ちゃんが成長するためにたくさんの栄養が必要になることや、つわりで思うように食事がとれないことで栄養素が不足しがちになります。
そのような栄養素を葉酸と一緒に補えるようなサプリメントを選ぶとよいでしょう。
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妊娠3カ月からサプリメントを違うものに切り替える方法もよいですし、妊活力と妊娠中に不足しがちな栄養素どちらも補える成分が含まれているサプリメントを妊活中から一貫して摂取する方法もよいでしょう。
自分自身に合ったサプリメントを選んでくださいね。
時期別葉酸サプリ選びのポイント
- 妊活中は1日400㎍の合成葉酸+妊活力を高める成分配合のものを
- 妊娠3カ月までは神経管閉鎖障害のリスク低減を優先して合成葉酸のものを選ぶ
- 妊娠中期以降は不足しがちな鉄や亜鉛、カルシウムなどが補えるものを